こんにちは!
保健所のひきこもり支援を実際に利用した体験談を聞きたくないですか?
今回の記事をオススメしたい方
- ひきこもり当事者で保健所の支援について知りたい
- ひきこもりのお子さんがいる親御さんで保健所の支援の利用を検討している
- 保健所のひきこもり支援に興味がある
- 保健所の支援を利用した体験談や生の声を聞きたい
前回の「保健所(行政)のひきこもり支援はどんな感じ?」に続いて、今回は僕が「実際に保健所のひきこもり支援を利用した感想」を書いてみます。
あまり保健所のひきこもり支援を利用した声はネットにはないので貴重だと思います。
できるだけ当時を思い出して率直な思いで書いています。
今回の記事はボリュームが多すぎて申し訳ないです。
お急ぎの方は目次から「2.専門相談」「3.当事者の居場所」「4.家族教室」と目的の章に飛んで見ていただければと思います。
↓前回の記事もあわせて読めばより今回の記事を理解できると思います。
【経験者視点の紹介】保健所(行政)のひきこもり支援ってどんな感じ?![]()
実際に保健所のひきこもり支援の利用した感想
僕の地元の保健所でやっているひきこもり支援
- ひきこもり専門相談
- ひきこもり家族教室
- ひきこもり当事者の居場所
既に5年以上前になりますが、僕はいずれも利用したり、ゲストとして参加したことがあるので良く知っています。
というか、僕は保健所のひきこもり支援に大変お世話になっています。
そんな自分だからこそ、今回率直な思いで支援の感想を書こうと思いました。
もちろん良い部分も悪い部分も包み隠すことなく。
※あくまで個人の感想です。
当時関わってくださった関係者の皆さんには感謝を申し上げますが、率直な思いを書いておりますのでご了承ください。
当時関わってくださった関係者の皆さんには感謝を申し上げますが、率直な思いを書いておりますのでご了承ください。
情報を見つけるのが大変だった
僕が最初に支援を受けようと思った約10年前は、保健所のひきこもり支援の情報を見つけるが大変でした。
というか、ひきこもり関係の本を読むまで保健所がひきこもり支援をやっていること自体を知らなかった。
10年前は既にネットは一般化していたと思うのですが、当時の僕の地元の保健所はあまり支援のことを発信していませんでした。
どれくらい見つからなかったかというと、検索エンジンで調べてもなかなか出てこないほどでした。今では考えられない。
ネットでどうにか「ひきこもりだと思ったら?」という画像のようなもの(リーフレット)を見つけて、それを印刷して母親に保健所に連絡してもらったことを覚えています。
専門相談はどんな感じ?
僕の最初の保健所との関わりは、母親と一緒に専門相談に行ったことでした。
母親に連れていかれたわけではなく、僕が自発的に相談に行こうと提案した記憶があります。
なぜかというと当時の僕は10年以上ひきこもっている最中で、年齢も20代後半に差し掛かっていて、世間を知らないまでも自力で社会復帰するのは難しいと感じていたからです。
僕は2回専門相談を受けているので、1回目と2回目にわけて説明しています。
1回目
母親に相談の予約をしてもらい、相談に行きました。
保健所に行くのは初めてなのですごく緊張していたのを覚えています。
ちなみに僕は保健所という言葉を聞くと「野良犬が連れていかれる場所」というイメージがありました(笑)
受付をしたあとで相談する部屋に通されました。
相談は「僕と母」「保健所の保健師さんと心理士さん」「精神科医の先生」というこれは何者面談?というぐらい大勢で行われました。
人数が多すぎて嫌な予感がしていたのですが、みんなお互いに遠慮をしてしまってまともな話ができませんでした。
僕は、ほとんど口を開いた記憶がありません。
最終的には精神科医の先生から「あなたは病気や障害の疑いはなさそうだ」と言われ、保健師さんからは「地元のNPOがやっている支援」を紹介されて相談は終わりました。
紹介されたNPOの支援は「月謝を払い就業体験(働かせてもらう)」タイプのものでした。
僕は「病気や障害の疑いはない」ということには納得をしつつも、紹介されたNPOの支援のやり方に疑問を感じたので、保健所の対応に不信感を持ちました。
「なぜ、こんな支援を保健所が紹介するの?」という感じで。
ただ、今考えると当時の地元にはあまり支援の資源がなかったので、病気や障害がないと判断された僕には紹介する適切な場所がなかったのでしょうね...。
ちなみにこの時点ではまだ地元の保健所は「ひきこもり当事者の居場所」をやっていませんでした。
2回目
2回目は「ひきこもり当事者の居場所」に参加した後でした。
1回目の専門相談が人数が多すぎてしっかりできなかったという思いがあったので、担当の保健師さんにお願いして2回目を受けることにしました。
この時は僕と「担当の保健師さん」「精神科医の先生」の3人で相談を行いました。
相談は精神科医の先生が僕に質問をする形で、たまに保健師さんがサポートをするような感じで進行していきました。
精神科医の先生の質問は「夜眠れているか?」のような基本的なことだったのであまり聞かれた内容の記憶がないです。
たぶん質問の内容より受け答えをする時の僕の様子を見ていたのかも?
他にも気になっている事や悩みを聞かれて、それに対するアドバイスをもらいました。
相談の結果は1回目と同じく「病気や障害の疑いはない」でした。
1回目は人数が多くて少し?な相談だったので、2回目でようやく専門相談を受けられたという気持ちになりました。
僕の専門相談まとめ
1回目と2回目ともに「病気や障害の疑いない」と精神科医の先生に判断をされたという事実は自分では納得はしています。
でも、当時も今も僕は他人と接したり、話したりという社会的な場面で問題を抱えているので「じゃあ、この生きづらさはなんなのだろう?」という疑問が残りました。
そもそも、この専門相談での精神科医の先生の見立ては「正式な医療行為ではない」という気がするので、もしかしたら明らかに疑いありでないと「病気や障害の疑いあり」の判断はしないのかも?
どちらにせよ僕が精神医療と接点があったのは、この時が最初で最後だったのである意味でここが僕のターニングポイントだったと思います。
もしこの時の僕が「病気や障害の疑いあり」と言われて、その方向の支援を受けていたら、人生変わっていたかも...と今でも考えることがあります。
当事者の居場所はどんな感じ?
僕は保健所の専門相談に良い印象を持たなかったのですが、母親が保健所の家族教室に参加してくれていたので保健所との繋がりは残っていました。
その繋がりが僕が当事者の居場所に参加するきっかけになりました。
居場所に参加したきっかけは?
母親が保健所と繋がってくれていたので、母親を通して保健所の心理士さんから「個別相談をするから来て」とお誘いがありました。
最初は「いや、もう行かないよ」と思っていましたが、何度もお誘いがあったのと自分でも「このままではまずい」という気持ちが強かったので個別相談に行くことにしました。
個別相談に行くと、ちょうどその頃保健所で「当事者の居場所」を始めたばかりだったので「参加しない?」と心理士さんから誘われました。
僕は当時、複数の人のいる場に行きたくなかったので「僕には無理なのでいいです」と断りました。
心理士さんからは「じゃあ個別相談は続けましょう」と提案されて、しばらく定期的に個別相談に通うことになりました。
その後も個別相談の中で熱心に「居場所に来ない?」と誘われて、僕も覚悟を決めて居場所に参加することにしました。
この心理士さんはとても熱心だったので僕の心が動いたのだと思います。
たぶんこの方に出会ってなければ、僕はいまだに他人と関わっていなかったかもしれないので僕の恩人の1人です。
最初に居場所に参加する時の気持ち
参加する覚悟を決めたものの「嫌だ!」という気持ちが強くて体は拒否反応が起きていました。
なぜかというと...
「学生時代にいじめにあったのが原因で不登校になった」
「長くひきこもっていて人と関われる気がしない」
「自分と同じような人たちを否定する気持ちがあった」
僕には以上の理由があったからです。
実際に参加してみてどうか?(初回と2回目)
恐る恐る参加してみると、その当時は居場所の参加者は約10名いて、どの方も「ひきこもり」のイメージとは違っていたので圧倒されました。
そんなに変に見えないというか、つまりは普通の人に見えました。
なぜかというと、みんな結構普通に話していたからです。
今考えるとそんなステレオタイプのひきこもりなんて存在しないのですが、当時の僕は他人との関わりがなかったのでその事に気づけませんでした。
初回はなんとか最初から最後まで参加したのですが、僕は「まずい!ここはレベルが高くてやっていけない...」と物凄いショックを受けました。
そうは思いつつも2回目も参加しようとしたのですが、ここで僕の「もう無理だ」という思いが爆発しました。
拒否反応が起きて、直前で居場所を開催している部屋に入れなくなりました。
僕は帰ろうと思ったのですが、異変に気付いた居場所のスタッフさんになだめられて、この日はどうにか後半から参加することができました。
その後、3回目以降は普通に参加できるようになったので自分でも不思議です。
たぶん、自分や居場所に参加している人たちに対する過剰な思い込みのせいで苦しくなってしまったのかな?と今考えると思います。
やっぱり思い込みというは怖い...。
【体験談】思い込みは怖い?久しぶりのカラオケで思ったより声が出た話【自己分析】![]()
どんな人たちが参加していたか?
居場所の参加者の詳細
- 性別:男性が5人、女性が4人ぐらい
- 年齢:20~30代ぐらい
- ひきこもり年数:数年以上
- 経歴:その人によって違う
- 印象:物静かで落ち着いている
性別
性別は当事者の居場所にしては珍しく男女がほぼ半々でした。
当時はまだ「居場所の女子会」という言葉もなかった時代なので、僕もここで初めてひきこもりには女性もいると実感しました。
年齢
年齢はみんな直接語ることがなかったので、あくまで推測になりますが20代~30代が中心でした。
僕は当時30代前半だったのですが、他の人が話す話題をよく聞いていると「自分より年下・年上・同い年」かというのがだいたいわかりました(笑)
ひきこもり年数
それぞれの方がひきこもっていた年数は...おそらく最低数年だと思います。
どの方も話を聞いている限りは社会との繋がりが遠いように感じたので。
ちなみに当事者の居場所なのに「ひきこもり」という言葉は出ないし、それに触れる話題が出ることもほとんどなかったです。
経歴
経歴もそれぞれの人の話を何回か聞いていると
「この人は大学を出ている」
「この人は1回就職した事がある」
というのは見えてきますが、みんな色んな経歴で異なる事情を抱えていると感じました。
誰1人として似た経歴・事情の人はいませんでした。
印象
印象はもちろん人によって違うわけですが、みんなに共通していたのは「物静かで落ち着いている」「あまり喜怒哀楽を出さない(出せないのかも)」ことでした。
居場所のプログラム(内容)は?
居場所のプログラム(内容)
- 開催頻度:週1回
- 開催時間:午後の時間に2時間
- 内容:フリートークと週替わりのレクリエーション
僕が参加し始めた当時は週1回の頻度で開催されていたので、すごく助かりました。
やっぱり良い習慣やリズムを作るためには最低週1回あるといいですからね。
まあ、開催側は大変だと思いますが(笑)
開催時間は2時間で長すぎず、短すぎずでちょうど良かったです。
ひきこもりは朝が弱い方が多いので午後からというのも考えられていると思います。
内容は前半は「フリートーク」で後半は「週替わりのレクリエーション」と1時間ずつわかれていました。
スタッフさんがある程度仕切って取りまとめてくれるので、当事者は安心して何も考えずに参加できる内容でした。
フリートーク
「フリートーク」は自由に話すのではなくて、順番を決めてそれぞれ自分の順番が回ってきたら「最近あったこと、気になった事」を話すという感じでした。
居場所のスタッフさんが聞き役になってくれて、その人の話を膨らませてくれたり、質問をしたり、時には突っ込んだりしてくれたので話すのが苦手な人でも安心でした。
僕はその当時は自分の話をするのが苦手なのと「自分のしたい話ではなくて、その場に相応しい話」をしようとしてしまって辛かった..。
でも僕は他の人の話を聞くのはその方の色んなことが見えて好きでした。
週替わりのレクリエーション
「週替わりのレクリエーション」はトランプやウノのような定番のカードゲームから卓球や散歩などの運動などもありました。
特に卓球は本格的な卓球台があったので、卓球が未経験だった僕はすごくワクワクしていました。
カードゲームやウノのようなカードゲームは、コミュニケーションが苦手な人たちでも夢中でやっている間になんとなく意思疎通が図れるのですごく良かったです。
散歩も近くに公園があったので良い気分転換になっていました。
内容(プログラム)のまとめ
フリートークとレクリエーションというバランスの良さと、当事者に優しい開催頻度と時間帯だったのでこの居場所はすごく良い取り組みだったと思います。
僕も最初嫌だったのに段々と楽しくなっていましたからね(笑)
余談ですが、居場所の参加している方はみんなフリートークとレクリエーションの場では、なんとなくコミュニケーションを取るのですが、それ以外では余計な関わりを持たないという感じでした。
みんな過去に人と関わって傷ついた体験をしているのかもしれないですね。
だから必要以外の場では「心を閉ざしているのかも?」と僕はそう感じました。
居場所のスタッフさんはどんな人?
居場所のスタッフさんの詳細
- 立場:保健所の保健師、心理士など
- 持っている資格:保健師、精神保健福祉士、社会福祉士など
- 年齢・性別:20~40代の女性
- 人数:1~3人
居場所のスタッフさんは基本的には保健所の保健師さんや心理士さんです。
支援の勉強をされていて、国家資格も持っているので「支援のプロ」です。
ある程度どんな人にも対応できるような素養の高さを感じるので、せっかく外に出てきた当事者を傷つける心配も少ないと思います。
僕は5人以上の保健師さんと関わりましたが、人柄は明るくてユニークでパワフルな人が多かったです(笑)
仕事でもこの居場所では当事者のみんなと一緒に楽しもうとしている方ばかりでした。
基本的に担当制で1年通して1~2人の同じスタッフさんが毎回入っていました。
ひとつ残念だったのは1年で担当者が変わってしまうので、せっかく作った関係性も新年度になるとリセットされることでした。
僕が居場所で辛かったこと
僕が居場所で辛かったこと
- 他の人とコミュニケーションが取りにくい状況
- 他の人と学歴や経歴を比較してしまった
- 他の人の家族や持ち物を比較してしまった
他の人とコミュニケーションが取りにくい状況
最初はあまり自発的にコミュニケーションを取らない雰囲気が心地よかったのですが、慣れてきたら僕はもっとみんなと話がしたくなりました。
でも他のみんなは最低限のコミュニケーションしか望んでなかったので、そのギャップが苦しくて辛かったです。
僕から他の人に積極的に話しかける努力はしましたが、返ってくる反応は薄かったです。
最終的には仕方がないかと諦めて現状を受け入れました。
他の人と学歴や経歴を比較してしまった
僕は学生時代の不登校を経てひきこもった人間なので、学歴も経歴も職歴も真っ白かつボロボロです。
だからとにかく「他の人の学歴や経歴がわかる話を聞くのが辛かった」です。
他の人の話を聞いて
「ああ、この人は大学まで出ているのか」
「ああ、この人は就職したことがあるのか」
と知るたびに自分のボロボロの経歴と比較して惨めになっていました。
同じ居場所に参加しているひきこもり同士でも格差があるというのを嫌というほど実感しました。
他の人の家族や持ち物を比較してしまった
学歴や経歴というのは自分が辿ってきた道なので、他の人と比べても仕方がないと諦めがついたのですが、家族やその人の持ち物の話を聞くのはもっと辛かったです。
なぜかこの居場所に参加している方は家族と関係が良好な人が多かったんです。
一方、僕は父親と上手くいってなかったり家族のことでも悩んでいたので、他の人が当たり前のように話す家族との微笑ましい話が嫌でした。
持ち物に関しては一部の人が「自分の車」を持っていて、それで居場所に来ているという事実がショックでした。
茨城県は車社会なので車を持っていても珍しくはないですが
「無職のひきこもりでも自分の車を持っている」ということが僕には信じられませんでした。
居場所で辛かったことまとめ
「他人とコミュニケーションの問題」
「自分と他人を比較して苦しくなってしまうこと」
あらためて振り返ってみると僕が居場所で辛かったことは、社会に出て人と関わったら当たり前に感じることでした。
だからそれが学べて良かったのかもしれないです。
ちなみにこの居場所では
「自分は自分、他人は他人だから比較しても仕方がない」
「同じひきこもりでも人によって状況は全く違う」
以上のことを意識して理解できるようになったら楽になりました。
居場所に数年通っていて思ったこと
僕は他の支援も利用したりアルバイトもしつつ、約4年ほど保健所の居場所に参加していました。
何年も居場所に参加して感じたことは
「この居場所は安心・安全だけど、ここに来ているだけだと何も起きない」
ということです。
ここに参加しているだけだと、良くいえば「現状維持」悪くいえば「停滞」している状態です。
それは、なぜかというとここには前に進むためのきっかけがないから。
念のために書いておくと、保健所は外部の支援(サポステなど)を紹介してくれたり、色んなアプローチはしてくれます。
問題はその外部の支援が居場所に来ている当事者にはハードルが高すぎるということです。
僕は保健所から紹介された外部の支援を利用しましたが、そこに至るまでに物凄く勇気と覚悟が必要でした。
そして外部の支援は「ひきこもり当事者に優しくない」という現実があります。
居場所に参加しているだけだと良くても「現状維持」にしかならない
でも外部の支援は「ハードルが高すぎる」ので先に進むのが大変。
もっと居場所に参加してる当事者に優しい支援があればいいのにと思います。
居場所を卒業した先にあるものとは?
居場所もいつか卒業しなければならない日が来ます。
僕自身も含めて僕が参加していた居場所で卒業(辞めた)した人の状況を書いてみます。
居場所を卒業した人の状況は?
- いつの間にか来なくなってしまった人
- 福祉の支援を受けるために卒業した人
- アルバイトを始めて来なくなった人
- 居場所に参加し続けている人
- 僕が卒業した状況
いつの間にか来なくなってしまった人
円満に卒業するわけではなくて、いつの間にか来なくなってしまう人もいます。
僕が見た中では
「前週まで普通に参加していたのに次の週から二度と来なかった人」
「遅れてきたり、途中で帰るというのを繰り返して来なくなった人」
こんなケースがありました。
理由はよくわからないですが、何か辛さを抱えていたのかな?と僕は思っています。
この居場所は安心・安全でしたが、辛さや弱みを共有できる雰囲気ではなかったので、人によっては辛くなってしまうのだと思います。
福祉の支援を受けるために卒業した人
おそらくですが「病気や障害」を持っている人だと思います。
僕が見た中では数人いたのですが、共通していたのは
「新しい場所でも頑張る」
という晴れやか表情と前向きな雰囲気でした。
保健所の居場所からは一番理想的な卒業のケースなのかもしれませんね。
アルバイトを始めて来なくなった人
中にはアルバイトを始めて卒業した人もいました。
その人はアルバイトを始めた当初は参加できる日だけ来ていましたが、やっぱりいつの間にか来なくなりました。
一見、円満に卒業したように見えますが、偶然別の場所でその人と再会した時に
「病気をした」
「かなり痩せてしまった」
という話を聞いたので、大丈夫なのかな?と心配になりました。
居場所に参加し続けている人
僕が最初に参加してから行かなくなるまでの約4年間、ずっと卒業せずに参加していた人もいました。
居心地が良いから参加を続けているのか、何か他の事情があるかはわかりませんが「他に行く場所がない」のかも?と僕は思います。
保健所は居場所に卒業せずに参加し続ける方が出ることを想定していたのでしょうか?
僕が卒業した状況
僕はかなり変わったタイプで「他の支援を受けていても」「アルバイトをしていても」都合がつく日は参加していました。
それは他の支援を受けても自分に合わない・理解してもらえないという違和感を抱えていたり、アルバイトでは差別的な扱いを受けたり居心地が悪かったからです。
だからせめてもの「安心・安全」を求めてこの居場所に参加していました。
2年ほどそんな状態で参加していましたが、他に繋がりができたりしたので、やっぱりいつの間にか参加しなくなりました。
居場所を卒業した先まとめ
やっぱり「それぞれの人のひきこもるまでの状況が違う」ように「居場所を卒業した後も人によって全く違う状況」だと言えると思います。
他にも保健所の先にある支援がひきこもり当事者にとってぴったり合うものがないというのも原因のひとつかもしれませんね。
サポステだと「就職しろ!」という圧力が強すぎるので、もっとゆるやかに就労できるような支援があるといいんですけどね。
余談ですが、僕はひきこもり続けるのも就労するのも自由だと考えています。
ただ、ほとんどの方がひきこもったままだと苦しい状況に追い込まれるのも事実なので、ゆるやかな就労と自立は必要なのかな?とも思っています。
家族教室はどんな感じ?
最後に家族教室(親の会)を紹介します。
家族教室は僕の母親が参加していたので、母親から聞いた話と僕自身が「回復した当事者」としてゲストで参加した時に見た状況を元に書いています。
ちなみに家族教室のスタッフさんは僕の地元の保健所では居場所と共通でした。
おそらく家族教室に参加している親御さんは「専門相談」などで1回は保健所に相談している方だと思います。
どんな親御さんが参加しているの?
参加してる親御さんはどんな人?
- 年齢:40~70代
- 性別:女性(母親)と男性(父親)の比は7:3
- 人柄:真面目、勉強熱心、ユニーク(独特)
- 経歴:しっかりとした職に就いていた人が多い
年齢
親御さんの年齢は40~70代と幅広いですが、メイン層は60~70代のようです。
おそらく定年してから「ひきこもりのお子さん」の問題に直面して何とかしたいと思う方が多いのかもしれないですね。
参加人数は毎回10人前後のようです。
性別
性別は僕のイメージだと女性(母親)が9割以上なのかな?と思っていましたが、意外と男性(父親)も参加しているようです。
やはり定年してから「ひきこもりのお子さん」と向き合うというお父さんは多いのでしょうか?
ちなみに夫婦そろって参加されている方も少数ながらいました。
人柄
人柄は、人それぞれだと思うのであくまで傾向です。
実際に参加していた僕の母親によると
「他の人の話を真剣に聞くことができて、参考になりそうなことがあったらノートに書く」そんな真面目で勉強熱心な方が多いようです。
そして中には独特な考え方でひきこもりを肯定するユニークな親御さんもいるようです。
もしかしたら「ひきこもりのお子さん」と向き合う日々の中で明るくポジティブに過ごすために身に着けた知恵なのかもしれませんね。
経歴
親御さんの経歴はあくまで傾向ですが「ひとつの会社に定年まで勤めあげたような方が多い」ようです。
僕の母親によると一般常識もあって、立ち振る舞いもきちんとされている方が多くて感心するそうです。
家族教室のプログラム(内容)は?
家族教室のプログラム(内容)
- 開催頻度:月1回
- 開催時間:午後の時間に2時間
- 内容:フリートークと週替わりのためになる勉強会
開催頻度は月1回で時間は2時間です。
対象が親御さんなので月1回は他のスケジュールとの都合も付けやすくてちょうど良いですね。
内容は当事者の居場所と同じく1時間ずつ「フリートーク」と「ためになる勉強会」わかれています。
居場所と同じくスタッフさん(保健所の保健師さん)が仕切って取りまとめてくれます。
居場所と家族教室をまとめるのはどっちが大変なんでしょうかね?(笑)
フリートーク
当事者の居場所と同じように順番を決めて、それぞれ自分の番になったら「話したいこと」を話します。
家族教室の場合は
「うちの子どもが最近~で困っている」
「うちの子どもの最近の様子はこんな感じ」
というような他の場では話せない「ひきこもりのお子さん」の話をする場合が多いようです。
あとは当事者の居場所と同じく保健師さんが聞き役になってくれて、他の親御さんも同調したり「うちの場合は~だよ」と話に加わるような感じです。
当事者の居場所と違って、家族教室は他の当事者会のように「自分の弱みや辛さを共有」できる場になっています。
参加者みんなが「ひきこもりのお子さんを持っている」というわかりやすい共通点があるからかな?
余談ですが、当事者の立場だと親が自分の話を他人にしているのは嫌かもしれないですね。
僕の場合は、母親に「好きに話していいよ」と言ってましたけどね(笑)
ためになる勉強会
主に「ひきこもりのお子さんとの接し方」を学ぶ内容になっています。
保健所としては親御さんの気持ちが楽にするためと、同時に親御さんを通じてお子さんである当事者に対する支援でもあるのだと思います。
週替わりで色んなことを学ぶみたいで、僕が母親から聞いて印象に残っていたのは
「ひきこもりのライフプラン」
「エンディングノート」
「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」
などです。
SSTとは「場面と登場人物を設定して、実際にロールプレイ(演じる)をしてみんなでいい対処法を考える」という専門的なものです。
おそらくフリートークだけだと「現状維持」にしかならないので、「少しでも良くするため」にあわせて勉強会をしているのかもしれないですね。
ちなみに僕の母親は勉強会もポジティブに楽しんで参加していました。
posted with
カエレバ
ひきこもりのお子さんの状況は?
ひきこもりのお子さんの状況
- 年齢:20代~50代
- 性別:女性(娘)もいるが息子(男性)が多い
- ひきこもり年数:1年~10年以上
- ひきこもったきっかけ:人によってさまざま
- 親との関係:その人によってさまざま
- 状態:その人によってさまざま
年齢
お子さんの年齢は20~50代と幅広いですが、30代後半以上の方が多数派みたいです。
親御さんの年齢が60代以降が中心だとすると自然とそうなりますよね。
あとは子どもがまだ20代で若ければ「そのうちなんとかなるだろう」と希望が持てるので相談機関に来ないというのも大きいのかも。
性別
お子さんの性別は、ほとんどが息子(男性)ですが、2割ぐらいは娘(女性)もいました。
ひきこもり年数
お子さんのひきこもり年数は1年未満から10年以上まで幅広いですが、こちらも10年以上の長期が多数派です。
僕は母を通じて家族教室の親御さんのお子さんの話を聞いていましたが
「居場所の参加者より自分の仲間(ひきこもりが長い人)が多い」
と感じました。
僕も30代後半になって実感してきましたが、ひきこもりのまま年齢を重ねてしまった方は
「今さら社会に出ても自分の居場所はない」
と悟っていて、ひきこもり続けているのかもしれないですね。
ひきこもりを続けるのも決して楽な道ではないので...。
ひきこもったきっかけ
本人からではないので、あくまで親御さんがそうであろうと思うきっかけです。
僕が無理に分類すると
「学生時代の不登校から」
「就職活動に失敗して」
「就職後に職場で不適応を起こして」
この3つがきっかけになるようです。
ただ、細かく聞くと人それぞれで、そこに至るまで色んなドラマがあるんだろうな...と思います。
親との関係
これも本当に人それぞれ、その親子によって違うみたいです。
「普通に良好な関係」から「会話がない、姿も見せない」まで幅広いです。
僕はひきこもりに限った話ではなくて、親子関係が人それぞれ違うのだと思っています。
状態
お子さんの状態
- 健康、病気や障害の疑いがある、通院して治療中
- 外に出ない、1人で外出する、親と一緒なら外出する
- 全く就労しない、たまに働く、働いたりひきこもったりを繰り返す
- 規則正しい生活をしている、昼夜逆転している
お子さんの状態も本当に人それぞれだと思います。
たぶん共通しているのは社会との関りが失われていたり、限定されていることでしょうね。
僕は当時ひきこもり状態で母親から家族教室の話を聞いていましたが、同じひきこもりでも人によって状況が違う、というのを実感しました。
ゲストとして家族教室に参加した感想
この章は僕が「回復した当事者」としてゲストで家族教室に参加した時の率直な感想です。
ゲストで参加した時の感想
- 親御さんたちの印象
- 僕の話をした時の反応
- 質問攻めにあった
親御さんたちの印象
母親から話は聞いていましたが、どんな人たちがいるのだろうか?と不安でした。
実際に参加してみると、優しくて穏やかなおじさんとおばさんたちだったので安心しました。
この人たちのお子さんは自分と同じひきこもりなのかと思うと不思議な気持ちでした。
もしかしたら人の内情や家庭の状況というのは見た目ではわからないのかもしれませんね。
居場所に参加している当事者の方が特に問題なく見えるのと同じように。
僕の話をした時の反応
僕はこの時「回復した当事者」ということで少し体験談を話しました。
親御さんたちの反応は...
「すごい!立派だ」
「勇気があるね」
「よくやったね」
という好意的な感じでした。
参加しているほとんどの親御さんが真剣に聞いてくださったので、僕が気持ちよく話せました。ただほんの少し変な違和感が残りました。
時間が経ってあらためて考えてみると、もしかしたら親御さんたちは自分事としては僕の話を聞いてくれなかったのかも..?と思いました。
反応がまるで、映画やドラマの主人公に対するものでしたからね。
自分のひきこもりの子どもが僕と同じように回復すると信じられないのかもしれないですね。親御さんたちの心には深い絶望があるのかも。
あとは僕のことを「完全にひきこもりから回復している」という目で見ているのにも気になりました。
僕はその時に偶然良い状態にあって、運が良かっただけなのに。
あくまで通過点であって、その後どうなるのかわからないのに。
今なら「僕とあなたたちのお子さんとそんなに変わらない」と伝えたかったです。
質問攻めにあった
僕は何回か家族教室のような親御さんの前で体験談を話したことがあるのですが、その時に必ず質問攻めにしてくる方が1人はいます。
そんな質問をする方はやたらと理屈を求めてきます。
「10年もひきこもっていたのになぜ社会と関わろうと思ったの?きっかけは何?」
みたいな質問です。
僕が「それはわからないです。」と答えると
「いや、そんな事はないでしょ。何かあるはずだ」とさらに攻めてきます。
そんな質問をする方の目を見てみると、目が怖くて、殺気立っていました。
それだけ自分の子どもの回復のヒントを得ようと真剣なんでしょうけどね...。
失礼ながら率直に書かせていただきました。
ゲストとして参加した感想まとめ
家族教室に参加している親御さんは自分の子どものひきこもりを理解しようとしている方たちです。
でも僕が実際に家族教室に参加して感じたのは、当事者との微妙なズレでした。
ひきこもり当事者と親が揉めるのはこのズレが原因なのかも...
まあ、普通の親子でも親子間のズレは常にあるので、特別なことではないんでしょうけどね。
家族教室の先にあるものとは?
家族教室に親御さんが参加していると家庭やひきこもりのお子さんにどんな変化があるのかを挙げてみます。
あくまで僕の地元の保健所の家族教室での話です。
家族教室の先にあるもの
- 家庭の雰囲気は良くなったが現状維持
- 親御さんが病気になり家庭の状態が悪化
- お子さんが良い方向に進む
家庭の雰囲気は良くなったが現状維持
一番多いケースではないかと思います。
家族教室に参加したことで親御さんの気持ちが軽くなり、お子さんとの接し方を学んだことで家庭内の雰囲気が良くなる。
でも、お子さんの状態は現状維持。
長くひきこもっていると変化するのはそう簡単ではないですからね。
でも一歩前進したということだと思います。
親御さんが病気になり家庭の状態が悪化
家族教室に参加されている親御さんはそれなりにご高齢なので、このケースもよくあります。
僕はこの話を聞くと、親御さんと当事者のお子さんの気持ちを思うと複雑な気持ちになります。
子どもがひきこもっていても親は病気になるのが現実なんですよ。
そしてこんな状況になっても、ひきこもりのお子さんが変化するかはまた別の問題です。
やっぱり急にひきこもりから抜け出せないですから...。
お子さんが良い方向に進む
家族教室のおかげかはわかりませんが、お子さんが良い方向に進むケースもあります。
「就労する」
「病院に通院を始める」
「支援に繋がる」
この3つがよくあるお子さんの良い変化です。
僕の家庭のように「母親が家族教室に参加→僕が居場所に参加」というのがわかりやすい良い方向に進むケースです。
家族教室の先にあるものまとめ
あくまで僕の意見ですが、家族教室は「親御さんの気持ちが軽くなって、家庭の雰囲気が良くなる」という効果はあると思いますが、当事者であるひきこもりのお子さんが変化するかは未知数だと思います。
そもそも本人がひきこもりをやめたいと思っているかわからないですからね...。
家族教室のように親御さん経由で本人への支援ではなくて、直接本人への支援であるアウトリーチ(訪問支援)があるといいのにと思います。
民間と違って保健所がやっているアウトリーチ支援だったら安心して利用できそうですよね。
もちろん訪問する際には当事者本人の許可は必須です。
だって、誰だってよくわからない人に突然来られたら嫌ですからね。
最後に
今回の記事はすごく長くなってしまったので、最後はシンプルに締めます。
僕が書きたいことは全部書いてあるので(笑)
おそらく保健所のひきこもり支援に繋がった方は当事者も親御さんも実際のほんの一部の方なんだと思います。
保健所の支援だけに限った話ではないですが、支援に繋がった一部の方も救えないのがひきこもり支援の現状ではないでしょうか?
「せっかく支援に繋がったのにどうにもならない」というのは無力感が物凄いので何とか支援に繋がった人を救える仕組みがあるといいんですけどね...。
僕は保健所は既に自分たちの分野で精一杯の支援をしていると感じるので、あとは社会や就労支援の出番だと思います。
今回は特に最後まで読んでいただいて感謝申し上げます。
ありがとうございました!
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